7 コアファイター脱出せよ
今回も前回6 ガルマ出撃すに続き、「アムロの疲弊」や「味方の不条理」がこれでもかと描かれる。加えて、民間人と軍部との対立も。とっちからってはいるが、空中からの地上降下戦など、一つとして同じ戦い方がないここまでのガンダムはアニメとしてもやっぱりすごい。 セイラとカイの対比
実はここまで見てきて、立ち位置がよくわかってないホワイトベースの乗組員が二人いる。カイとセイラだ。
この二人は特に今回では対照的なキャラクターとして描かれている。一見、アムロのことを心配してくれるものの、とにかくいうことがすべて不条理なセイラと、一見冷たく関心がなさそうなのだが、言ってることがいちいちごもっともなカイという対比だ。
セイラ:
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アムロが命をかけたコアファイターでの脱出作戦は失敗。ホワイトベースに戻ってくるよう指示されたアムロだが、今度はそのままガンダムに乗り換え空中戦をしろと言われる。
「空中で!?ガンダムって大体陸戦兵器なんですよ?」
これに対するセイラの答えが
大丈夫。自由落下で1分以上空中にいられるの あなたならできるわ
これ、答えになってるだろうか。セイラは言ってることがとにかく不条理で身勝手なサポートキャラということになっている。これに対して「勝手すぎます!」と返すアムロ。もうあまりにもアムロの言う通りなので笑ってしまうしかないのだが、セイラはさらに無茶苦茶を言う。
生き抜きたくないの?
コアファイターで出撃しているときならこの文句もわかるのだが、一回ホワイトベースに戻ってくる途中のアムロにもう一度出撃する際の言葉としては、これは最低オブ最低の言葉ではないだろうか。またお前らの作戦のために死地に赴くパイロットに対して、後方支援の人間が「生き抜きたくないの?」て。
当然アムロは「自信ありません」などと言うのだが、これにもセイラは冷たい言葉。
アムロ 誰だって自信があってやっているんじゃないわ でもね アムロ あなたには才能があるわ 自信を持って ハッチ開くわよ
「自信がない」に対し「自信ならみんなない」「でもお前には才能がある」「才能あるんだから自信を持て」。アムロの気持ちなんかまったく考えず、一見暖かい態度で冷たい言葉を言い放つ、最優先してるのはホワイトベースでアムロの命なんか所詮そのための手段でしかないかのようなセイラの態度だ。
そしてガンダムとアムロは不得意な空中戦をするのだが、今度はまた「駄目よアムロ 退却しなさい」とセイラが言う。さすがのアムロも「そ、そんな」と言葉がない。
カイ:
これに対してカイは、アムロのこともホワイトベースのことも、一見どうでもよさそうなすかした態度をとっているのだが、言葉だけを並べると、実は一番合理的に作戦を理解し、適切な支援にまわっている。
いつまで敵と根比べをしててもはじまらねえでしょう アムロの提案をやってみたら?
アムロにやらせるのは無責任なような気もするが、アムロの提案が受けいられるように支援している発言だし、
ホワイトベースから出たらやつらの攻撃を覚悟しておいたほうがいいぜ
これも一見一生懸命やってるパイロットを茶化してるだけのように描かれているのだが、冷静に文字面だけを見てみれば正しい認識だ。実際、シャアは作戦に気づき、コムサイで攻撃をしかけてくる。このアドバイスは大変有益だ。
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しかし、こう言われたアムロは「あなたは一体何なんです!?」とキレてしまう。
むきになることはないだろう?忠告しただけなんだぜ」
これもこんなことを言われればイラッとしてしまうが、言葉の通りにとればたしかに忠告しただけだし、その忠告も重要なものである。
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また、アムロを支援する際には自ら積極的にミサイルチェックをしている。減らず口の軟弱者、冷笑系に見せながら、実は一番アムロに対して具体的に効果のあるアドバイス+サポートをするというのがカイのキャラクターなのだ。 「ハハハハ! 無理すっからさ」
作戦に失敗したアムロにこう言い、ブライトから殴られるカイだが、アムロが無理をしている、アムロに無理させているということを誰よりもよく理解しているのがカイだとも言える。
(座り込みする民間人を見たアムロに対して)「気にするなよ、アムロ」
これも「そう熱くなるなって」と茶化しているようにも見えるが、自分が命をかけて守ろうとした民間人に造反されたアムロのショックを誰よりも慮っている発言だと取るほうが自然だろう。
カイは日本人が大好きな「泣いた赤鬼」の青鬼みたいなキャラクターなのだ。 デモや座り込みをする民間人の身勝手さ
今回の一番の引っかかりポイントはここ。民間人による反乱だろう。
無理やり宇宙移民をさせられた我々が二度と帰ることのないとおもっとった地球へ帰れたのに着陸もできずに終わったら死にきれんというものじゃ
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そう言って、カツ・レツ・キッカ、それにフラウ・ボゥを人質にとって暴動を起こす民間人のおじいさんたち。一体地球にいつ着陸するのか教えろと言ったり、今すぐ地球におろしてくれと座り込みをしたり。
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実際に手を動かし、命もかけリスクもおかす人間と、それにただ文句を言うだけの民間人という対比しているんだけど、このシーンを見て思い出したのがシン・ゴジラでの庵野秀明の「反政府デモ」の描写だ。あれもゴジラをなんとかしようと寝るまも食事も惜しんで働く対策本部と、それにただ文句を言うだけのデモ隊のような比較になっていた。 ブライト:あと一息で連邦軍の勢力圏に入るんです それまでの我慢がなぜできないんですか?
おじいさん1:それまでの命の保証を誰がしてくれるんです?
アムロ:あなたがたは自分のことしか考えられないんですか!?
おじいさん2:子供に年寄りの気持ちが分かるか!
アムロ:誰が自分だけのために戦うもんか! 皆さんがいると思えばこそ戦ってるんじゃないか!僕はもうやめますよ?
実は民間人とホワイトベースの利害は対立などしていない。むしろ一致している。というのも、残りの食料が少ないことや、世話する労力を考えれば、今すぐにでもこの場で全員地球におろしてしまったほうが、ホワイトベースとしても圧倒的に助かるからだ。
実際、リード中尉は民間人を下ろそうと提案する。
民間人もリードに代表される軍部もどちらも自分のことしか考えていない。これと自分たちの損得を離れて正しい判断をするブライト=アムロらが対照的に描かれる。
この描写だけだと民間人やそのデモ=座り込みはいかにもダメであるかのように思えるし、シン・ゴジラでの反政府デモの描写と同じになってしまう。が、ガンダムでは「こんな大事なときなのに政府を信じられない悲しい経緯」も描いている。 宇宙移民を過去に無理やりさせられてる。
この描写の分だけ、ガンダムのほうがシン・ゴジラよりも描写が深い。
ガンダムの強さの秘密 Part2 もしくはガルマはやっぱり無能
今回で大事なのは、ガンダムの強さの秘密がもう一つ明かされることだろう。1つ目の秘密は教育型コンピュータ搭載。これにより戦えば戦うほど強くなるのがガンダムの他のモビルスーツとの違いだった。が、それだけではない。 ガルマ:連邦軍のモビルスーツな...あれに対する作戦を改める必要がありそうだ
ガルマ:コンピュータのデータから推測するしかないが 敵のモビルスーツは戦闘機を中心に自由にタイプを変えられる多用途モビルスーツらしい
簡単に言うと、どうもガンダムは変形できるらしい。何?! 驚くシャア。自分も驚いた。え??初代ガンダムってZガンダムみたいに変形できた=いわゆる可変モビルスーツだったっけ? 調べてみたけど、そういう事実はないらしい。 要するに今回ガルマがやったのは「今までのデータから間違った推測をしてそれをシャアに伝えた」だけwww
シャア:では今後どう戦ったらいいというのだガルマ
そりゃそうだろう。ガルマの発言を信じ、対策について真剣に聞き返すシャア。だが、これに対するガルマのセリフにあきれてしまう。
ガルマ:戻れ。検討しよう
いや、対策、なーーーんも考えてないんかいwww
結局、ガンダムの強さの秘密の描写なのではなく、①コンピュータで机上のデータだけ計算させるが、②その結果間違ったインフォメーションを味方に与えるのみで、③それ以上の具体的な対策を自分で考えることすらできないガルマのクソ無能描写だった。
その他細かい気になるところ
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なんで戦闘機に乗ってるのがシャアだってわかるのか。
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これはびっくりした。コムサイってめっちゃ小さい、それこそコアファイターと同じくらいの大きさかと思ったら、なんと中にザクが入るくらいの大きさあったっていう。
リュウ・ホセイ。パイロットとしては無能なのだが、とにかく精神が安定してるし、頑丈で疲れ知らず。確かにアムロの負担は大きいがリュウも基本的にほぼ出撃してるし、小さなコアファイターで毎回命をリスクにさらしてる。それなのに冒頭セイラとともに民間人のケアをしていたりする。